3月20日 【第7回】働き方改革関連法案特集⑦高度プロフェッショナル制度の創設

こんにちは、博多駅から徒歩5分のはかた駅前社会保険労務士法人です。

働き方改革特集最終回は、「高度プロフェッショナル制度の創設」についてです。

※前回までの記事はこちら
【第1回】働き方改革関連法案特集①残業時間の上限規制
【第2回】働き方改革関連法案特集②有給取得の義務化
【第3回】働き方改革関連法案特集③勤務間インターバル制度
【第4回】働き方改革関連法案特集④割増賃金率の猶予措置廃止
【第5回】働き方改革関連法案特集⑤産業医の機能強化
【第6回】働き方改革関連法案特集⑥同一労働同一賃金

「高度プロフェッショナル制度」は、高収入かつ専門知識を持った労働者について、本人の同意等を条件に労働時間の規制から外すという制度です。
対象労働者・対象業務についても絞り込まれていますが、勤務時間と成果が必ずしも比例しない、高度な知識を要する仕事に対して制度が適用される形になります。

対象労働者については、下記のとおりです。
《対象労働者》
・書面等による合意に基づき職務の範囲が明確に定められている
・1年間に支払われると見込まれる賃金額が、平均給与額の3倍を同等程度上回るとして省令で規定される額(1075万円が想定されています)
賃金額については、高度プロフェッショナル制度の対象となることで賃金が減らないように使用者側で考慮する必要があります。

また、対象業務は金融商品の開発やディーリング、アナリストやコンサルタント、研究開発の5業務を想定されており、いずれも「始業・終業時間などの働き方についての指示を行わない」などの要件を定められています。
また、長時間労働になることも想定されることから、労働者の健康を確保するための措置も条件に盛り込まれます。

《健康確保のための措置》
・使用者が労働者の健康管理時間をタイムカードやPCのログイン履歴等で客観的に把握する
(健康管理時間=在社時間+事業場外で業務に従事した場合における労働時間)
・健康管理時間が一定時間を超えた者に対しては、医師による面接指導を実施する
・年間104日の休日を確保する措置に加え、下記①~④のいずれかを行う
①インターバル措置(終業時間から始業時刻までの間に一定時間以上を確保)
②1月または3月の健康管理時間の上限措置(過剰な労働時間の制限)
③2週間連続の休日
④臨時の健康診断

企業が高度プロフェッショナル制度を導入する際は、下記の対応が必要となります。
対象労働者ごとに同意を得る
・労使委員会で対象業務の範囲等について決議を行い、行政官庁へ届出を行う
・届出を行った使用者が長時間労働防止措置、健康・福祉確保措置の実施状況を定期的に報告し、実施状況を書面にて保存する
高度プロフェッショナル制度については対象労働者・対象業務がかなり絞られるため導入をする企業は多くないかと思いますが、導入にあたっては対象業務の要件確認や健康確保のための措置に関して事前に準備を進めておく必要があるかと存じます。

ちなみに、高度プロフェッショナル制度の導入のためには「対象労働者ごとに同意を得る」ことが必要となりますが、有給休暇の取得義務に対応するための年次有給休暇の計画的付与制度導入等についても、就業規則の作成・改定や労使協定の締結等労働者代表の同意を得る必要があります。
先日、日経新聞でも労働者代表の選出規程に関するニュースが掲載されていました。
2019年4月より労働基準法施行規則6条の過半数代表者選出規定が強化されることになり、下記の条件が追加されます。
《労働者代表選出規定追加項目》
①使用者の意向で選出された者でないこと
②協定事務を円滑に行えるよう使用者が配慮すること
過去、労使協定の締結等に関する労働者代表の選出方法が実際と異なることを根拠に協定の無効を主張した裁判で、裁判所が定められた手続きで選ばれていないと認定した判例もあります。
今後、労働者代表の選出にあたっては正当性をより求められることになります。

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●参考
・日本経済新聞「『労働者代表』問われる正当性」(2019年3月18日)
・厚生労働省「高度プロフェッショナル制度の創設について