博多駅から徒歩5分のはかた駅前社会保険労務士法人です。
今回は「有給取得の義務化」について書いていきたいと思います。
※前回の記事はこちら⇒【第1回】働き方改革関連法案特集①残業時間の上限規制
巷では「有給取得の義務化」と呼ばれていますが、厚生労働省のリーフレット等では「年次有給休暇の時季指定義務」と示されています。
法改正の内容としては、2019年4月以降に年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対し、年5日は時季を指定して取得させる義務があるというものです。
「使用者は年5日は時季を指定して取得させる義務がある」ということから、「年5日は有給休暇を取得する必要がある(有給取得の義務)」と言われています。
日本は他国と比べ有給休暇の取得率が低い現状から労働基準法の改正を行った経緯があり、政府は2020年までに有給休暇の取得率を70%まで上げることを目標にしています。
2019年4月よりすべての企業が年次有給休暇時季指定義務の対象となりますので、皆様が新聞などで目にされる機会も増えていると思います。
この年次有給休暇の時季指定については、年10日以上の有給が付与される方に対して年5日は時季指定をする義務がありますが、労働者が自分から請求して有給を取得した場合は、その5日から労働者が自ら取得した日数分を引くことができます。
例えば、2019年4月1日に11日分の年次有給休暇を付与された労働者が3日間自分から請求して有給休暇を取得していた場合、2020年3月31日までに残り2日間を時季指定にて取得してもらえれば1年間の間に合計5日間となって日数を達成できます。
年次有給休暇については、労働者ごとに管理簿を作成し3年間保管しなければなりません。
(必要な時に出力できる仕組みであれば、システム上での管理も可能です)
この年次有給休暇の時季指定義務についてですが、様々な企業が働き方改革の一環として取り組んでいる事例がありますので、ご紹介します。
●P社(製造業・従業員数170名)
・「記念日休暇」制度を導入、従業員の誕生日などの記念日に有給休暇を取得してもらうように働きかけ
・お子様が生まれる男性社員に対し「3日間の出産立会休暇(特別休暇として有給休暇には含まず)」を付与、出産・育児において全社員が有給休暇を取得することへの心理的ハードルが下がるよう制度を設計
⇒結果:年次有給休暇の取得日数が2016年度:8.16日→2017年度:9.10日
●Q社(福祉業・従業員数56名)
・時間単位での年次有給休暇取得制度を導入し、上司から率先して取得することで従業員の有給休暇取得率をアップ
・リフレッシュ休暇など年次有給休暇を活用した各種休暇制度の導入
⇒結果:年次有給休暇の取得率が34.8%→52.7%
年次有給休暇を活用した休暇制度の導入や従業員への周知・意識付けを行うことで有給休暇の取得日数・取得率をアップさせる結果につながっているようです。
厚生労働省からは時間単位での年次有給休暇取得や計画的付与制度の活用も提示されており、就業規則の改定や労使協定の締結により導入することが可能になっています。
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《参考》
・厚生労働省「年次有給休暇取得促進特設サイト・仕事休もっ化計画」
・厚生労働省「働き方・休み方改善ポータルサイト」