2月27日 【第4回】働き方改革関連法案特集④割増賃金率の猶予措置廃止

こんにちは、博多駅から徒歩5分のはかた駅前社会保険労務士法人です。

働き方改革関連法案特集も折り返し地点の第4回となりました。
今回は「割増賃金率の猶予措置廃止」についてです。

※前回までの記事はこちら
【第1回】働き方改革関連法案特集①残業時間の上限規制
【第2回】働き方改革関連法案特集②有給取得の義務化
【第3回】働き方改革関連法案特集③勤務間インターバル制度


すでに大企業には適用されている割増賃金率の引上げですが、猶予措置をとられていた中小企業に対しても2022年4月以降適用される形になります。
3年後ではあるので「まだもう少し先だな」と感じられる企業様もいらっしゃるかと思いますが、その内容について解説したいと思います。

割増賃金率の引上げについては、月60時間を超える時間外労働について適用されるものです。
特に長い長時間労働を抑制することを目的として、1か月あたり60時間超の時間外労働をさせた場合には、その超えた時間の労働について、5割以上の率で賃金を支払うこととしています。
1か月の計算をどこでスタートするかについては、賃金の決定・支払計算に関するものとして就業規則に定める必要があります。

現在猶予措置がとられている中小企業については、「資本金の額または出資の総額」または「常時使用する労働者数」が下記に該当する場合に中小企業と判断されます。
・小売業:5,000万円以下または50人以下
・サービス業:5,000万円以下または100人以下
・卸売業:1億円以下または100人以下
・その他:3億円以下または300人以下


引用:「改正労働基準法のあらまし」(厚生労働省・労働基準法関係リーフレット)

上の図のように勤務した例を考えてみます。
・平日に勤務
・所定休日は土曜日/法定休日は日曜日
上記の例で、平日は毎日2時間の時間外労働、土曜日は毎回6時間の労働をした場合は1か月の時間外労働時間数が下記の通りに計算され、合計70時間となります。
・平日 2(時間)×23(日)=46時間
・土曜 6(時間)×4(日)=24時間

60時間を超える時間外労働が引上げ対象となるため、70-60(時間)の10時間分について50%以上の率で計算した割増賃金を支払う必要があります。
こちらの例を見ると、27日(土)の終わり4時間分、29日(月)~31日(水)の各2時間についてが対象となります。

この「割増賃金率引上げの猶予措置廃止」にあたっては、就業規則で割増賃金率や1か月の起算日についてきちんと定める、あるいは時間外労働を削減するといった取組みが考えられます。
すでに働き方改革として時間外労働の削減を進めている企業の取組み事例をご紹介します。

A社(製造業)
・以前はタイムカードで打刻⇒上司・給与計算担当者がチェックしていたが、勤怠管理システムを導入することでチェック作業の負担を軽減
・以前は社有車の運転日報を運転者本人が作成していたが、自動で運転日報も作成できるドライブレコーダーを導入
・アニバーサリー休暇や飛び石の休みを埋めるブリッジ休暇制度を設け、有給休暇の取得を促進
⇒結果:平成27年度月平均時間外労働:1人あたり25.3時間⇒平成28年度月平均時間外労働:1人あたり6.3時間

最近は各企業から様々な勤怠管理システムが出ていますが、はかた駅前社会保険労務士法人でも勤怠管理システムを導入していますので、実際の使用した感想や費用等もお伝えすることができます!
「勤怠管理システム、気になるけどどういうものがいいのか分からない…」「有給休暇の取得義務が始まるからついでに他の働き方改革についても聞いてみたい」等、初回ご相談は無料ですのでお気軽にお問合せください!

●お問合せ:はかた駅前社会保険労務士法人

●参考:働き方・休み方改善ポータルサイト(厚生労働省)